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お知らせ
2023/10/02

コロナ治療薬に関して

10月からコロナ治療が有償となります。
パキロビットは5日の治療で9万9千円の薬剤費ですから、3割負担で約3万円、1割負担で1万円。ラゲブリオは5日で9万4千円なので負担額はパキロビットとほぼ同額、ゾコーバは5日で薬剤費が5万2千円でので、3割負担で約1万6千円、1割負担で5千円ほどになります。
パキロビット、ラゲブリオの売りは重症化の予防、ゾコーバは低リスク軽症者の症状軽減(発熱、倦怠感、咽頭痛、咳などの症状が1日ほど早く良くなる)が効能とされています。
さすがにこれでは高すぎてそうそう簡単に支払える金額ではないわけで、国もある程度補助はだすことになりました。ただ、3割の人で上限を9千円、2割で6千円、1割で3千円とのこと。この金額をどう考えるかということです。
薬剤から得られるメリットを患者さんサイドに立って考える必要が当然あるわけですが、正直情報が不足しています。
そこで改めてこの薬に関して対費用効果を考えてみます。


パキロビット、ラゲブリオは重症化予防のため内服するわけですが、どんな方が重症化するのでしょうか。
一般的には高齢者、重症化リスクと考えられる基礎疾患をお持ちで、病状管理が不十分、またはある程度進行している方が重症化しやすいということです。疾患的には慢性腎臓病、特に透析患者さん、コントロールのできていない糖尿病、慢性心疾患で心不全のある方、慢性呼吸器疾患で特に酸素療法が必要な方や喘息のコントロールが悪い人、BMI 30越えの肥満の方で特に生活習慣病お持ちの方、あと結構な喫煙者、がん治療中でちょっと体力低下が目立つ人、ステロイド、免疫抑制剤を使っている人などになると思われます。ただ、今まで診療してきて感じているのはこの方たちもワクチンをうっているとかなり重症化は予防できている印象です。特にこの1年以内に2価ワクチンの追加接種を受けているとよりその効果の恩恵が得られている思われます。無論、風邪をひいても生命にかかわるぐらい弱っているような方は例外かもしれません。

ではどんな人が本当にハイリスクなのでしょうか。すでに答えは上述していますが、キーポイントはワクチン接種です。 昨日長岡赤十字の救急の先生と話しをしましたが、ワクチンをしているかどうかは入院治療を要するかどうかにおいて非常に重要なポイントだとのことでした。私も最近の経験から同様の考えをもっていました。在宅酸素をしているような患者さんも最近の流行で結構コロナ感染していますが、当院通院の方はこれまでのワクチン接種をすべて受けておらており、結果すべて症状的には軽症レベルで回復してます。その一方で30代、40代でもワクチン未接種だと、感染後、回復期に入っても咳、呼吸困難が継続することがあり、長引く症状で当院来院されレントゲンを撮ると結構肺炎像が出ていることを経験します。
ではゾコーバはどうなんでしょうか。効能としての期待は、軽症低リスクの方の発熱、咳、咽頭痛、倦怠感、頭痛などの症状が1日早く改善しますよ、ということです。そんなん、咳止めと熱さましと葛根湯でも飲んどきゃいいじゃん、と思われるかもしれません。正直なところ「はい、そうです」ということになります。じゃ、ゾコーバはもういらない薬なの、っていうことになるのでしょうか。いいえ、結論は違います。実は、ゾコーバは薬理効果としてはパキロビットと同系統で、早期の投与で体内のウイルスを無治療の方と比較すると、より早く減らしてくれる効果をもっています。その結果が、症状改善に働くわけですが、最近の知見では、後遺症リスクも軽減する可能性が示唆されています。

新型コロナ感染症(COVID-19)において、現在重症化率はかなり抑制されてきている中、今も問題になるのがこの後遺症です。印象では、ウイルスの変異、ワクチン接種などで以前ほどは重篤な後遺症をみることはなくなったかなとは感じています。しかし、ワクチン未接種の若者では、いまだに長引く倦怠感、咳、息切れ、頭が重いなどの症状を1か月以上訴えるケースをしばしば見ます。このような症状には、残念ながら未だによい治療法がないのが現状で、ほぼ対症療法のみです。ゾコーバは、もしかするとその後遺症を減らしてくれるかもしれない薬なのです。まだ、エビデンスが不十分ですが、もし正しければ、今後重要な治療薬になります。
ただ、若い方々は3割の医療費負担をもつわけで、コロナになる度に治療薬に9000円も使っているわけにはいかないと思います。
ですので、専門家も政府も本当に意義のあるものとこれらの薬のことを認めているならば、是非、もう少し国民の負担を減らせるよう検討しなおしてほしいと私は願っています。

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